さて、同人サークル『にくじゃがソフトウェア』をクローズするにあたり、核心について触れていませんでした。
同人サークルは(※税務上個人事業の一種という側面はさておき) 、本来は趣味で制作した冊子などの自主制作物を頒布する事を目的としています。それ故、容易に始める事ができますが、辞め時はいつか来ます。
本来は原価(※何を以て原価というかはさておき) で身内の本を頒布する事を指していたようですが、にくじゃがソフトウェアは同人界隈の中では後発であり、若干商業(物販)の考え方を含めながら物事を進めていました。
そこから、見いだせた事を記したいと想います。

■サークルの辞め時を考えた時

さて、弊サークルの取扱は基本的に二次創作物である以上、メインとなる創作物(コンテンツ)の収束に伴い、いつかは鞍替えか引退かを迫られると考えていました。それは2016年春頃から少しづつ考えていた事です。
理由として、窓辺家を全員登場させてしまった事(※そういえばクロード出てなかったw)もそうですが、制作負荷が徐々に大きくなった事もあります。結果、自身に1人分以上の負荷がかかってしまった事が直接の理由です。

■負荷やリスクをマネジメントできないとどうなるか

同人誌制作において、自身の趣味(快楽)と引き換えに負荷やリスクを補えるうちは、とても健全です。しかし、本来は借金などを含む負債を背負ってまで行うことではありませんし、「趣味への投資」という名目を元に投資のし過ぎにより破綻する場合もあります。

今回、自分たちの失敗は以下の通りです。
  1. 新刊を毎回必ず1冊は書き下ろす為に、執筆+編集のスケジュールを予めスケジュールしていた
  2. プラス、突発の新刊の入稿を想定し、追加で1冊分の編集スケジュールを予約していた
  3. 過去の本についても重版する事により、なるべく在庫切れが発生しないようにしていた
  4. キャッシュフローについても余裕がある状態ではなく、毎回持ち出しが発生していた
これにより、編集作業および印刷の負担が過剰になる状態が毎回のように発生していました事が挙げられます。また、コンテンツの寿命という事をあまり考慮していなかった事から、これから整理すべき過剰な在庫を抱えている事も事実です。

■趣味が趣味でなくなる瞬間

自分は(前にも書きましたが)、元々で趣味でパソコンに向かっていた人です。しかし、ある時を境にそれはマネタイズされ、仕事となりました。それにより、(責任感が強いという側面もありますが)責任感という重圧により押し潰されそうになった事も多々あります。

同人でもそうでないでしょうか。
読者のニーズに応える事はとても楽しいですし、自分の本が売れる瞬間はとても気持ち良いものです。しかし、本来は「自身の制作物を観てほしい」であり、ひっくり返って「読者に読んで貰えるものを書く」となっている場合、それは既に同人という職業であり、マネタイズ・リスクヘッジ出来ていない場合は、それは辞め時なのかも知れません。

にくじゃがソフトウェアの場合、その一線は守ることが出来たと想います。

■もしムリを感じているならば、仲間に相談しよう

とはいえ、相談する相手を選ぶ事が現実かもしれません。
しかし、上記の状態が続いているのであれば、過剰なストレス・蓄積疲労によりメンタルが弱ってしまう場合もあります。(※現に公私ともにそういった方を多く見てきました)

もし公私を併せて、自分の限界を超えそうだなー・ヤバいなー、と感じたら、一度誰かに相談してみると良いでしょう。おおよその場合、過負荷になっている状態を快楽で乗り越えようとしている場合かもしれません。

■辞め時はいつかくる

同人を続けることは自由の1つですが、先にも書いた通りムリをしてまでする事ではありません。自身の余裕の範囲で行うことであり、1人の大人として自制する事も必要です。

もちろんマイナージャンルとして毎回新刊を出す事を諦め細々と続けていく事も考えましたが、このポリシーに立ち返った時に、自分たちは一旦活動を止めて休養・本職に集中する事を選びました。

「最初から辞め時を考える」とは言いませんが、どのサークルも何かしらハードルが出てきて、決断を迫られる時もあると想います。
今回は「ムリをしない/ムリするくらいなら同人を辞める」 という事を書きましたが、皆さんの参考になれば幸いです。

(kmikage/拝 )